土の中の力持ち その2ーコラムー
2月も終わりですね。
今年は閏年。29日まであるのは、皆さんにとって良いですか?悪いですか?
「1日働かなきゃいけない日が増える~」
という方も、
「締め切りが1日伸びた~」
という方も、
様々いらっしゃるでしょう(ザ・サラリーマン思考/(笑)。
とまあ、冗談はさておき、
今年の2月は、気温が20℃超えの日があったり、突然雪が降ったり(これはまあ2月では普通ですが)と、日によって気温の変動が激しすぎましたが、農家の皆様、農作物の様子は如何でしょうか?
悪い影響が出ないことを祈っております。
さて、
今日のコラムは前回の続き、「腐植の働き」についてお話したいと思います。
有能な腐植君、まずは、土壌の団粒構造の促進に一役買ってくれましたね。
お次は、保肥力アップに貢献です。
2.保肥力向上
豊かな土壌の条件として、保水性、排水性の良さが挙げられますが、これは土壌の団粒構造(下図)が関係しており、腐植が重要な役割を担っていました。

それと同様に、高い保肥力を持っていることも、肥沃な土壌の条件の一つです。
それでは、『保肥力』って何?
ってことですが、
保肥力とは、読んで字の如く、土壌が肥料を保持する力のことです。
土に保肥力がないと、いくら肥料を与えても、雨や水やりなどで肥料がどんどん流れて行ってしまい、植物が吸収できなくなってしまいます。
そうなると、植物は元気に大きく育ちませんよね。
そこで、腐植君参上!
腐植は、組成上、陽イオンである金属イオンをキャッチする性質があります。
ここで、腐植(フミン酸やフルボ酸)は、構造が定まっていない無定形の高分子化合物ですが、
H.R.シュルテンらによる推定上のフミン酸の分子構造が以下のように表されています。

H.R.Schulten et al. Naturwissenshaften. 1993:80;29-30
見るからに複雑で頭が痛くなりそうですが、有機化学でおなじみのベンゼン環がやたらとあるのが目につきますね。
このベンゼン環に、OH基(水酸基)とCOOH基(カルボキシル基)が付いた構造が、今回、特に重要となってきます。
こっちの方が見やすいかな。
下図は、J.バッフルらによるフルボ酸の推定構造。

J.Buffle et al. Anal. Chem. 1997:49(2);216-222
フルボ酸の方が小さいですが、左半分に、上記の構造が並んでいるのが分かると思います。
で、何故、この構造が重要になってくるかといいますと、
まずは、簡単にこの構造だけを取り出すと、こんな感じ。

(※OH基やCOOH基は適宜複数付いてます)
このOH基とCOOH基ですが、さらに正確に書くとこうなります。

(※Rはアルキル基)
この構造において、Hの結合が弱く、土壌中では負(-)に帯電しているため、金属イオンなどの陽イオンと結合しやすい性質があります。
つまり、植物の栄養素であるカリウムイオン(K+)やマグネシウムイオン(Mg2+)などと結合しやすいわけなんです。

上の図は、あくまでイメージ図ですが(実際はもっと複雑な結合をしています)、こんな感じに捉えてみると分かりやすいでしょうか。
これが、腐植の保肥力のヒ・ミ・ツ。
まったく腐植様様ですね。
3.毒性の緩和と消臭力
次の有用な腐植の働きは、上の構造とも大いに関係しています。
実は、金属というのは、金属イオンのままだと毒性を持つものが多いのですが、上のように腐植にキャッチされた状態――専門的には錯体化といいます――だと、何と毒性が減少することが確認されています。
腐植があるだけで、土の栄養を保持し、毒性を下げてくれるなんて、良いことずくめですね。
それから、消臭力。
リキ~♫ の方じゃありません(笑)
先程の基本構造の部分で、水酸基やカルボキシル基の方ではありませんが、Hが付いている腕の方が、臭気を発する分子と置換し、これをキャッチします。
他にも、有毒物質を構成する分子なんかも捕捉してくれます。

上はイメージ図ですが、こんな感じ。
ちなみに、ベンゼン環を亀の甲の形だけで書くのは、化学のお約束の省略形で、実際は下のようにC原子とH原子で構成されています。

ここで、タナクラクレイは微細孔を持つ構造であり、こちらも分子を閉じ込める構造(炭の消臭剤とかと同じシステムです)なので、ダブルで消臭♪

有機肥料の使用や堆肥作りなどに最適です。
何と、腐植の働きはまだあるので、次回に続きま~す。
web担当:M
